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アンケート企画 2位「えろえろ」でスクツナ ロジータミコーレ 前編 02 |
2009.10.7 |
ギクシャクした恋人との一週間は、綱吉の気分を落ち込ませるのには十分だった。 結局、校内への一般人入場チケットも受け取ってもらえず、綱吉は鬱々とした気分で文化祭の当日を迎えていた。 * * * 三年生が総力を挙げて取り組んだという出品物は、旧校舎の全体を使った『お化け屋敷』だった。 普段から人魂が飛ぶだのという怪奇な噂に事欠かない旧校舎に、綱吉も好きで入ったわけではない。 暗くて人目を避ける事の出来る場所だからだ。 綱吉のクラスは、教室の中で軽食喫茶をやっている―――ジュースやらお菓子を、教室を訪れた生徒や一般客に給仕するだけなのだが、問題は、女子は男装、男子は女装という、給仕係の衣装にあった。 衣装は公平にクジ引きで決められたのだが、綱吉はメイド服などという普通なら一生、袖を通す事など無い、ヒラヒラした衣装を引き当ててしまっていた。 それからは最悪、だ。 噂を聞きつけて綱吉を訪ねてきた友人・知人らは、綱吉を茶化したり、写真を撮ったり、卒倒したり、何事か張り合ったりと慌ただしかった。 それらを追い払い、やっとの休憩時間。 一度は、この忌々しいメイド服も脱いでしまおうと考えた綱吉だったが、また女子に囲まれて化粧やら着付けを一からされることを考えると気分が滅入って、脱ぐに脱げなかった。 結局 今は、スカートの下にジャージを着用している。 しかし、それでも堂々と人目のある場所に出て行ける格好ではない、と、廊下の隅に小さくなっていたところを山本に誘われ、暗くて人目を避ける事の出来る場所を提示し、結果『お化け屋敷』へ同行した次第だ。 「ねぇ、山本」 「ん? どうしたツナ。怖いなら手ぇ貸すぜ」 「……怖く無い。コドモ扱いしないでくれよ」 「そっかー?」 辺りには心底から不安を煽るような、不吉な音響が雰囲気をそれらしくしていた。 旧校舎の板張りの廊下は、踏みしめるたびに不快な音を立てて軋む。 教室も、廊下も、照明の類は取り外されているし、明り取りとなる全ての窓には、今はダンボールが隙間なく貼り付けられており視界はなお暗く、足取りも慎重になる。 そんな中を、綱吉は山本と二人、廊下に貼られた蛍光テープの矢印を頼りに歩き、天井からぶら下げられた冷たいコンニャクやら、至る所に隠れている妖怪や幽霊に扮した三年生達に怯えさせられながら出口を目指していた。 「……ねぇ、山本。出口ってまだ遠そう?」 綱吉は先に立って歩いていた山本の背中を追いかけながら言った。 「ん? ん―――もう少し先みたいだぜ」 「……そっかぁ」 「歩き疲れたなら、オレがオンブしてやるぜ」 「オンブって、やだなぁ山本ぉっ! そんなんじゃないよ……ちょっと電話しときたい人がいるんだけど、肝心の携帯を教室のロッカーに忘れてきたみたいなんだよね」 「それって今日、来れなかったっていう―――……トモダチの?」 「と、トモダチっていうか、うぅん……えぇと」 言葉を濁して苦笑いした綱吉は、視線と一緒に溜息を落とした。 薄暗い視線の先では、スカートの裾で白いフリルが ヒラヒラと揺れている。 ―――スクアーロには、とても見せられない姿だ。 昨夜までは、文化祭に託けて校舎の中をデートしたい、等と考えていた綱吉だったが、今はスクアーロが文化祭を嫌悪していてくれたことに安堵さえしている。 「……ツナ、あそこに人が。なんだか、なんだろうな? すげぇー恨みがましい顔でツナのこと見てるぜ」 不意に、前を歩いていた山本が足を止めた。 その背中に顔をぶつけて呻いた綱吉は、鼻の頭を押さえながら怪訝に顔を上げると、山本が指差している暗闇の奥へと目を凝らす。 暗く淀んだ廊下の向こうに、白く滲んだ人影が見える。 その影が、床板を蹴り破らんばかりの勢いで此方へ走ってやってくるではないか。 「ひィっ!? いっ、いやっ、もう驚かないよ、オレは! きっと、またオバケ役の先輩に決まって」 言いかけた言葉を、綱吉は寸前で飲み込んだ。 目の前で立ち止まった白い影―――腰まで届く白銀の長い髪を振り乱し、憤怒の形相で仁王立ちする男の顔を、綱吉が見誤るはずがない。 「す、す……スクアーロォッ!?」 「ははっ。なぁんだ、やっぱツナの知り合いかよー」 うろたえている綱吉を他所に、山本は綱吉の肩を抱いて快活な笑顔を浮かべた。 山本と綱吉の間では日常的なスキンシップに過ぎない行動であったのだが、男は……スクアーロは、見る間に眦を吊り上げていく。 その様子を目の当たりにした綱吉は、さっと表情を強張らせた。 「……よぉ、探したぜぇ? こんな暗がりでコソコソと、野郎と二人きりでナニやっていたのか、キッパリサッパリ説明してもらおうじゃねぇかぁ」 恋人の尋常でない殺気に撃たれた綱吉は、思わず悲鳴を上げて尻餅をついた。 「ちょっ、ちょっと待ってよスクアーロ! ほ、ほらっ話した事あっただろ? 山本はオレの友達で」 「―――ふ、心配して来てみれば……他の男に抱かれやがって。覚悟は出来てんだろうなぁああっ綱吉ぃいいっ!!」 スクアーロは横殴りに拳を振るうと、ダンボールで目張りされた廊下の窓硝子を叩き割った。 窓の桟は板壁ごと外側へ拉げ、薄暗かった旧校舎の中には眩しいほどの陽光が差し込み、砕けた硝子と木屑の残骸の中で震える綱吉のか細い姿を照らしている。 古びた旧校舎を大きく揺るがせる怒声と悲鳴に、彼方此方の教室から妖怪や幽霊に扮した生徒達が顔を覗かせた。 人の目が集まってきた事に鋭く舌打ちしたスクアーロは、綱吉を肩に担ぎ上げると、穴の開いた壁を更に蹴破って素早く外へ飛び出していった。 * * * 校内のことには知識の無い筈のスクアーロだったが、人目を避けるにはもってこいの場所を本能的に感知したのだろうか。 綱吉を俵抱きにしたスクアーロが向かった先は、校舎の隣に並ぶ独立した別棟だった。 二階建てのここは、一階が図書室、二階が各資料室や倉庫として使われており、普段から人の出入りも少ない。 今日は文化祭で賑わう校舎の喧騒から ぷっつりと切り離されて、一層、静まり返っているように感じる。 その、別棟のトイレの中に綱吉を連れ込んだスクアーロは、メイド服に身を包んだ綱吉を頭の天辺から爪先までを監察するように じっくり眺めていた。 「いい格好だなぁ、……男もホイホイ釣れたことだろうぜぇ」 壁に背中を預けて腕組みしたスクアーロは、戸惑いの表情を浮かべた綱吉を見据えて冷ややかに言った。 「―――っ違うったら! 山本とはなんでもないし。それに、これはっこの服だって、クラスの出し物の一つであって、決してオレの趣味なんかじゃないからっ。女装なんてホントは嫌だし、だからスカートの下にジャージ穿いてるんだから」 「本当に触らせてねぇってのか?」 「ほんとっ、本当だから信じて」 瞳を潤ませた綱吉の細腰を抱き寄せたスクアーロは、小さな恋人の顔を覗き込んで薄く笑んだ。 「―――……誓えるか?」 「うん! だから、すくあー……―――ぃっ!?」 なだめる様に背中を優しく撫でる恋人の微笑に安堵の表情を浮かべ、男の逞しい胸へ身体を預けた綱吉だったが、不意にスカートの中へ手を差し入れられた瞬間、声にならない悲鳴を上げた。 そして無造作に握り込まれた陰茎を揉み転がされて、堪らず男に縋り付いて腰を震わせる。 「んん゛? 随分、反応いいじゃねぇか」 「……ちょっ、あ ぅ 触らないで ぇっ、スクアーロッ く ぅうんっ」 「確かめるだけだ、大人しくしてろぉ。お、少し勃ってきたなぁ……コッチは、どうやら使ってねぇみたいだが―――ケツはどうだ? あぁ、このジャージはいらねぇな」 言い様に綱吉のジャージを下着ごと引き摺り下ろしたスクアーロは、抵抗する綱吉の身体を洗面台へ抱え上げると、暴れる脚を掴んで左右に大きく開脚させた。 剥き出しの尻に感じた洗面台の冷たさに震え上がったのも束の間、空かさずスカートの中に頭をつっこんだスクアーロの吐息が、僅かに勃ちあがった陰茎に吹きかけられた瞬間、綱吉は焼けるほどの羞恥に全身を焦がした。 「ひ……ゃっ、あ こんなのっやだぁあっ」 「騒ぐんじゃねぇ。もし間違って学校の連中に見られでもしたら、どうするつもりだぁ」 「ぁあっそんな あっ」 「……さぁて、じっくり確かめさせてもらうぜぇ」 綱吉の幼さの残る陰茎に舌を這わせたスクアーロは、スカートの中でくぐもった笑い声を上げた。 |
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