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アンケート企画 4位「ギャグ」でスクツナ スプレーウィット 前編 01 |
2009.5.1 |
裏社会に暗躍し、多くの組織を傘下に置くイタリア最大の犯罪組織。 ボンゴレ・ファミリー。 伝統と格式、潤沢な資金源を有するボンゴレは、国家の中枢にまでその影を落とす巨大なマフィア組織だ。 その多くの構成員を絶対的統率力で纏め上げているのが、ボンゴレ九代目首領 ティモッテオ。 典型的な穏健派と知られる彼には、彼に直属する独立暗殺部隊が存在した。 圧倒的な戦闘力を誇り、強固な仲間意識で結ばれた彼の暗殺部隊の名を、ヴァリアーという。 その幹部であり、研ぎ澄まされた剣技から“剣帝”という厳しい異名を持つ剣士、 スクアーロは、ヴァリアーの首領より標的の暗殺命令を受け、単身 日本は並盛町へ飛ぶこととなった。 * * * スクアーロは、来日して直ぐに現地の情報屋と繋ぎを付けた。 小さな島国の、小さな町の事。 どこに隠れていようと、直ぐに見つかるだろう。 と、高をくくっていたスクアーロだったが、見事に当てが外れた。 並盛町の何処かへ潜伏しているはずの標的は、なかなか用心深い様子で、腕利きと評判の情報屋も、その尻尾さえ掴めないでいるのだ。 その状態で一週間。 標的側にも、こちらの居所を特定させない為に、ホテルを転々と移動する日々が続いており、落ち着く暇も無い。 その間も、イタリアの本部から掛かってくる電話が容赦なく尻を叩く。 電話を受けるたびに、スクアーロはギリギリと奥歯を鳴らし、苛立ちを隠そうともせずに電話口に唾を飛ばして怒鳴り散らす。 ―――というのが、彼の日課となっていた。 元来、気の長い方ではないスクアーロは、そんな日々に焦れていた。 思うように事が運ばないことへの苛立ちに、鬱憤が溜まる一方だ。 「ああ、畜生。剣が鈍っちまうぜぇえ」 旅行客を装って街中を闊歩していたスクアーロは、人差し指でサングラスのブリッジを押し上げながら低く呟いた。 色素の薄い瞳に日差しが強すぎたこともあるが、目立たぬように、簡易な変装のつもりで掛けたサングラスだ。 しかし、スクアーロと擦れ違った通行人は、皆一様に彼を振り返った。 女性は見目良い色男に陶然と。 男性はガラの悪そうな男に脅えを込めた眼差しを向けている。 その露骨な視線に気付かないスクアーロではない。 横断歩道の手前で立ち止まり、途切れることなく目の前を走り過ぎて行く車の流れを見送りながら、スクアーロは ちら と、横目で背後を一瞥した。 何かと理由を付けて、己の憂さ晴らしに付き合ってもらおうか という心算でいたのだが、どの男も軟弱で頭の軽そうな連中ばかりだ。 スクアーロは僅かに俯いて溜息を落としたが、その直後に妖しく目を細めた。 ―――尻の軽そうな女の一人・二人、適当に引っ掛けて遊んでみるのもいい。 後腐れなく、楽しめるオンナ だ。 日本に渡ってからというもの、女気のない生活を送っていたスクアーロは、不意に己の中に押し込められていた男の欲を下腹に意識した。 窮屈な布地の下で熱を持ち始めたそれに、眉を顰める。 「……ぅおぉい、勘弁しろよ」 情けなくなって呻いたスクアーロは、何処か手早く処理できる場所がないものか、と辺りにすばやく視線を走らせた。 そこで、スクアーロは、横断歩道を挟んで向かいに並ぶ店舗の中に、ケバケバしい看板を見つけて瞳を瞬かせた。 真っ黄色の看板に、大きな赤文字が四つ並んでいる。 スクアーロは鋭い視線で看板に書かれた文字を黙読して目を見張った。 「―――……テレクラ、だとぉおっ」 ボンゴレの主治医であるシャマルに聞いたことがある。 日本の電話風俗の一つで、男女の出会いのためのクラブだと。 個室には電話機はもちろん、テレビ・パソコン・DVDなどの娯楽もあり、店によってはベッドやシャワー室も付いている店もある。 もちろん、催した際には必須の箱ティシュも常備されている。 スクアーロが緊急に必要としているのが、それだ。 窮屈な思いをしている下腹部の性器を取り出し、人目も気にせず扱ける。 「……」 何の衒いもなく店へ入っていく男達の姿を眺めながら、スクアーロは葛藤した。 そして、 「い゛よ゛ぉお゛おおしっ」 歩行者用信号機の点灯が赤色から青色に変わった瞬間、スクアーロは地を蹴って走りだした。 |
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